タングステンの用途・加工方法

タングステンとは

タングステンは、精錬の難度が高かったり、原料となる鉱石の埋蔵量が少ない、あるいは偏在しているといった理由から、レアメタルと呼ばれる金属です。金属としての見た目は銀灰色で、電気抵抗が大きい、融点が高い、金属的に安定している、比重が重いといった特徴があります。特に、比重の重さはタングステンという言葉が、スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語で重い石という意味を表すことから、その名前についたほどです。産出においての偏在性が高く、産出量の80％が中国です。そのため、日本では、国際状況の変化から供給が途絶えたときのために、国内使用量の60日分を備蓄すると定められています。

 

タングステンの用途

 

 

 

タングステンは、その特性により様々な用途で使用されています。以下にいくつかの代表的な用途を挙げます。これらは一部の代表的な用途ですが、タングステンの特性と優れた物理的特性により、他の産業や応用分野でも様々な用途があります。

 

電子機器

タングステンは電子機器の製造に広使用されています。電球のフィラメント、X線管、半導体デバイス、真空管などで利用されます。タングステンの高い融点と低蒸発率は、これらのデバイスでの高温操作に適しています。

 

熱処理工具

タングステンの高い融点と優れた耐熱性は、熱処理工具としての使用に適しています。タングステン合金は高温での耐摩耗性が高く、切削工具、ドリルビット、高速切削工具などで利用されます。

 

切削工具

超硬合金と呼ばれる、炭化タングステンとコバルトの混合の焼成によって作られる素材として、切削工具に使用されます。特に、その硬さから耐摩耗性に優れた工具として使用されます。

 

航空宇宙産業

タングステンは航空宇宙産業において重要な役割を果たしています。高い密度と強度を持ちながらも比較的軽量なため、航空機のバランスや重心の制御に使用されます。また、高温環境における耐久性や放射線シールドとしても利用されます。

 

医療機器

タングステンは医療機器の製造にも使用されます。特にX線撮影装置や放射線治療において、タングステンは放射線の制御やシールド材料として使用されます。

 

自動車産業

タングステンは自動車産業でも使用されます。エンジン部品、ブレーキパッド、電池端子など、高温や高耐久性が要求される部品に使用されることがあります。

 

軍事製品(戦車、徹甲弾など）

その比重の重さ、金属的な安定性、融点の高さは軍事的な利用において活かされています。

 

 

タングステンの加工方法

 

 

タングステンの加工方法は、その硬さと高融点の特性により一般的な金属とは異なるものがあります。以下に一般的なタングステンの加工方法をいくつか説明します。これらは一般的なタングステンの加工方法の一部ですが、具体的な応用や形状によってはさらに専門的な加工方法が使用される場合があります。タングステンの加工には専門的な知識と適切な設備が必要であり、適切な工具や加工条件を使用することが重要です。

 

切削加工

タングステンは非常に硬いため、一般的な切削工具では切削が難しい場合があります。タングステンの切削には、特殊なハイスピードスチール（HSS）やカーバイト（硬質合金）の切削工具が使用されます。また、切削時には適切な冷却剤が必要です。

 

電気放電加工（EDM）

タングステンは電気放電加工（EDM）に適しています。EDMは電気の放電を利用して材料を削り出す方法であり、タングステンのような硬質材料の加工に効果的です。

 

レーザーカット

レーザーカットはタングステンの精密な切断に使用されます。レーザービームの高エネルギーを用いて材料を溶かしたり蒸発させたりすることで、精密な形状の切断が可能です。

 

研削加工

タングステンの表面仕上げや精密な加工には研削加工が使用されます。研削盤や研磨材を使用して、タングステンの表面を削り出して仕上げます。

 

錐鋸加工

タングステンの穴あけや溝切りには錐鋸加工が使用されます。硬質なタングステンを削り出すために、特殊な切削工具や適切な冷却剤が必要です。

 

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