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ステンレスの切削性について|ステンレス加工が難しい理由

 

 

ステンレス鋼は錆びにくく、強度の高い金属です。種類も多岐にわたり、結晶構造により性質が変わります。表面処理により見た目の調整をすることもできます。強度が高い反面、加工難易度も高く、複雑な形状の場合精度や加工費にも注意が必要です。しかし、ステンレスは金属の中でも切削が難しいと言われている金属です。これは、ステンレスの特性である熱の伝わりにくさや、粘り強さが大きく影響しているためです。他の金属と同様に切削すると、ステンレスが脆くなったり工具が破損する恐れもあります。防ぐには、使用する工具や切削条件を適切にし、クーラントを使用するなどして熱を逃すことが大切です。

 

ステンレス加工が難しい理由

 

切削加工

 

 

ステンレス鋼の加工の中でも切削加工は特に難しい加工です。その理由の1つに熱伝導性の低さです。金属を切削加工すると、摩擦により800~1200℃程度の熱が発生します。通常その熱は切粉に分散し、切削油とともに離れていきます。しかし、ステンレス鋼は熱が切粉に伝わりにくく、低温の切粉が加工品に溶着し、加工の難易度を上げる一因となっています。行き場のない熱は切削工具に留まり、過剰な熱により工具刃先の欠けや焼け付きなどの欠損に繋がることがあります。もう1つ加工が難しい理由は硬さです。ステンレス鋼には加工硬化と呼ばれる、負荷を与えることでより硬くなる性質があります。元々硬い金属がさらに硬くなってしまうので、適切なクーラントを選んで温度が高くなりすぎないように調整する必要があります。

 

溶接加工

 

 

ステンレス鋼には溶接加工ができる種類もあります。ただし、溶接後にスケールと呼ばれる「溶接焼け」が起こることがあります。これはステンレス鋼の成分変化を起こし、腐食から守る不動態皮膜を破壊させます。溶接焼け部分では、クロムの拡散現象が起こり、クロムの含有量が低下させるため、ステンレス鋼の耐食性を維持できるクロム含有量を下回り、耐食性に大きな悪影響を与えます。放置すればここから腐食が進んでしまうため、除去する必要があります。しかし、スケールは非常に硬く除去作業は容易ではありません。除去後には再び破壊された不動態皮膜を形成する処理も必要です。孔食や全面腐食となる原因になりかねない部分なので、加工者には十分な知識と技術が求められます。

 

 

ステンレスの切削性について

ステンレスはさびにくい、硬いなどの特徴を持つ金属ですが、切削しにくい材料でもあります。熱伝導率が悪い、粘性が高い、加工硬化してしまうという点が切削しにくい要因となります。詳しく説明しますと、ステンレスは熱伝導率が悪いので、切削加工をすると工具の先端部分に熱が溜まりやすくなってしまいます。その結果、工具の先端部分の破損や材料であるステンレスが熱の影響を受けやすいです。熱による悪影響を小さくしようとすると、熱がこもらないように遅い速度で加工する、切削油を大量に使用するなどの工夫が必要です。そしてステンレスは鉄などの金属と比較すると粘性が高く加工硬化しやすい特徴を持っています。そのため長時間にわたり切削を続けると、材料のステンレスが硬くなってしまい削りにくくなり、工具が破損しやすくなるなどの可能性があります。

 

 

ステンレスの種類ごとの切削性

ステンレスには様々な種類があり、成分や金属構造によってそれぞれ分類されています。切削性に関しては、被削性指数という数値で表せます。被削性指数が大きければ大きいほど加工しやすく、小さければ小さいほど加工しにくい材料と判断可能です。

 

鋼種 被削性指数
オーステナイト系 SUS302 30
SUS303(快削性) 60
SUS304 35
SUS304L 40
SUS309S 40
SUS310S 40
SUS316 45
SUS317 45
SUS321 45
SUS347 40
マルテンサイト系

(未硬化処理)

SUS403 50
SUS410 50
SUS416(快削性) 65
SUS420 45
SUS420F(快削性) 55
SUS431 50
SUS440A,B,B 40
SUS440F(快削性) 60
フェライト系 SUS405 55
SUS430 50
SUS430F(快削性) 80
SUH446 55

引用:ステンレス (現場で生かす金属材料シリーズ)/丸善出版

 

 

快削ステンレスとは?

ステンレスの種類の中には切削加工がしやすいという特徴をもった「快削ステンレス」があります。快削ステンレスは成分の一部に快削成分を含むことによって、削りやすくしています。例えば快削ステンレスのひとつであるSUS303は、SUS304と比較して約2倍近く被削性指数が高いです。SUS303は快削成分であるモリブデン(Mo)を含むことに よって削りやすくしています切削加工がしやすくメリットが注目されがちな快削ステンレスですが、以下のデメリットもあります。

 

  • 有害不純物である硫黄(S)を0.3%含む快削ステンレスもある
  • 硫黄(S)以外でも快削成分が含まれることによってさびやすくなり脆くなる
  • 複合材料によって異方性が高まるので性質が劣化する場合がある

 

 

ステンレスを切削加工する場合のポイント

 

適切な工具・条件をそろえる

ステンレスを切削加工するときには、材料選びのみでなく工具や加工時の条件にも気を配る必要があります。

 

ステンレス切削加工に適した工具

ステンレス切削加工時は工具の先端に熱がこもりやすく、工具自体も摩耗しやすいです。そのため加工時には耐摩耗性を考慮し、コーティング処理をした超硬合金製の切削工具を使用するのが良いでしょう。

 

加工内容別工具選び

  • 旋盤加工:熱を逃がしやすくするために大きめのバイトを使用する
  • フライス加工:ねじれが強く鋭利な刃を使用する
  • 穴あけ加工:デュアルリードタイプのドリル

 

加工時の条件・作業の進め方

作業効率を考えれば切削時間が短い方が優れています。しかしステンレスで切削時間を短くしようとすると、熱が高くなってしまい工具の破損しやすくなるので注意が必要です。

 

  • 切削速度を遅くする
  • 切り込み量を小さくする
  • 送り量を小さくする
  • 工具や材料に合った切削時間を設定する

 

 

切削油(クーラント)は必ず使用する

 

ステンレスの切削加工をする際には、切削油(クーラント)を必ず使用します。切削油とは、加工時に潤滑油として使用するもので、材料と工具の間に油膜を作り、「潤滑、冷却、冷却」の働きをします。また、切削油はほんの少しの隙間や凸凹にも切削油が浸透し、金属同士の摩擦を軽減するメリットがあります。ということで加工時に切削油を使用すれば、材料と工具の滑りを良くし、工具や材料の熱を下げることが可能です。

 

切削油の種類

切削油には水溶性、不水溶性の2種類があります。不水溶性の切削油は、潤滑性に優れている一方で高温環境で発火する恐れがあります。ステンレスの切削加工では工具や材料の温度が600~1000℃近くまで上昇するので、発火の可能性がなく冷却性に優れている水溶性の切削油を使用してください。更に切削油をミスト状にして噴射することによって、切削油を効率的に利用できます。

 

 

 

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