
海外協力工場との「金型預かり書」
――あとで揉めないために、最初にやっておくべきこと
海外の協力工場に金型を預けて生産する。
製造業ではごく当たり前の光景ですが、トラブルが起きやすいのも金型まわりです。
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金型代は払ったはずなのに、返却を断られる
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いつの間にか別の顧客向けに使われていた
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生産終了後、「もう廃棄しました」と言われる
こうした話、どこかで聞いたことはないでしょうか。
今回は、**海外協力工場との金型預かり書(Tooling Custody)**について、
なぜ必要なのか、何を書けばいいのか、実務目線でまとめます。
金型トラブルの多くは「悪意」ではなく「認識違い」
まず前提として、
多くの海外工場は最初から騙そうとしているわけではありません。
問題は、
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「金型代を払った=所有権は当然発注側」
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「工場で作った金型=工場の資産」
この認識のズレです。
日本では暗黙の了解でも、
海外では「書いていないことは合意していない」と受け取られるケースが多々あります。
だからこそ必要なのが、
**金型預かり書という“共通認識を作る紙”**です。
金型預かり書の目的は「裁判」ではない
誤解されがちですが、
金型預かり書は訴訟のための書類ではありません。
目的はシンプルで、
「この金型は誰のものか」
「どう使ってよいのか」
「いつ返すのか」
を事前に言語化しておくこと。
これだけで、
トラブルの8割は未然に防げます。
これだけは外せない5つのポイント
① 所有権は発注側にあること
最重要です。
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金型代を全額支払った時点で
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金型の所有権は発注側に帰属する
この一文がない預かり書は、
正直言って意味が半減します。
② 使用目的を限定する
「この製品を、この顧客向けに生産するためだけ」
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第三者使用の禁止
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勝手な横展開の禁止
特に注型や簡易金型では、
形状が流用されやすいため注意が必要です。
③ 保管・管理は工場責任
金型は工場に置く以上、
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紛失
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破損
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無断改造
について、管理責任は工場側であることを明確にします。
④ 返却・移管条件を決めておく
よくあるのが、
「返却可能」と書いてあるが
いつ・どの状態で返すのかが書いていないケース。
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発注者が求めた場合
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〇日以内に
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通常使用可能な状態で返却
ここまで書いて初めて実務で使えます。
⑤ 勝手に捨てさせない
生産終了後、
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保管継続
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移管
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廃棄
いずれの場合も、
発注側の書面同意が必要と明記しておきましょう。
「場所がないから捨てた」は、海外では普通に起きます。
見積書だけでは不十分?
「見積書に“金型費”って書いてあるから大丈夫では?」
これはよくある勘違いです。
見積書はあくまで「費用の合意」。
所有権や使用制限までは、ほぼ書かれていません。
だからこそ、
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見積
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発注
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金型預かり書
は別物として考える必要があります。
実務的におすすめの運用
難しいことは必要ありません。
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A4・1〜2枚
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日本語+英語(または中国語)併記
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PDFで署名・社印
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金型番号と写真を添付
これだけで、
工場側の意識はかなり変わります。
最後に:金型は「資産」
金型は単なる道具ではなく、
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技術
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ノウハウ
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投資
そのものです。
「長く付き合っている工場だから大丈夫」
そう思っていても、
担当者が変わった瞬間に話が通じなくなることは珍しくありません。
だからこそ、
関係が良いうちに、淡々と紙に残す。
それが、
海外協力工場と長く付き合うためのコツだと思います
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